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hamada37_Chris McGrathGetty Images_japanearthquakerubble Chris McGrath/Getty Images

増税のない自然災害からの復興を

世界中、ハリケーン、地震、火災、干ばつなどの自然災害の発生が続いている。多くの人々は、それらが人間活動によって生み出された地球温暖化の結果であると主張するであろう。日本も例外ではなく、今年は非常に強い台風と地震に度々見舞われる事態となっている。

これらの災害に対応するため、経済復興のための増税が必須であることを声高に訴える主張がある。現在の経済復興努力により被るツケにより将来世代の負担が増えないように、増税が必要である必要であるというのである。しかし私はこの場で異議を唱えたい。

2011年の東日本大震災は、残念なことに住民に深刻な打撃を与えた。ところが、同年5月23日 2人の影響力のある、この件を除いては私も尊敬する経済学者による提案が日本経済新聞に掲載された。大地震の費用は公債発行でなく、現世代への増税によって賄われるべきであるというものであった。

この提案は、公債に関する経済学の正しい原則とはまったく矛盾しているため、筆者は驚きを隠せなかった。その上、数百人の経済専門家が名を連ねて提案を支持したことにも驚きだった。財政学一般の考えで、公的債務の発行が薦められる典型的な例は、自然災害や戦争への対応である。これからは自然災害の場合で説明するが、議論は、戦争にも当てはまることを読者にはするだろう。

災害後に政府が現在時点で財政収支を維持するため増税に頼ろうとすると、税率を大幅に引き上げる必要がある。高い限界税率は、市場メカニズムを歪め、すでに災害を被っている国に余計な負担をかけることになる。そこで財政学の基本理論によると、急激な増税とそれに伴う損失を和らげるため政府が国債を発行することでその時点で国民から借りることが役に立つ。したがって、高裁によるマクロ政策は、災害によるショックを和らげスムーズにすることに有効となる。

したがって、私は「このような増税政策は、怪我をした子供に重荷を治ったら軽くしてやるからといって、運ばせるかのようである」と抗議した。増税活動を行った日本経済新聞を含む日本のメディアは、筆者のコメントの掲載を渋ったのだが、おそらく上記の経済学者たちと同様に、常に増収を歓迎する財務省(MOF)の強い影響下にあるからだろう。

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財務省の考え方の背後にあるのは、「リカードの等価理論」である。デビッド・リカードは、2世紀を経た今日でも専門的な議論に優れた直感だけでなく分析的定式化が積極的に取り入れられている経済学の例外的な巨人である。

リカードの理論は、政府が民間と同じように、長期的にその異時点間の政府予算のバランスをとると仮定している。政府が歳入以上を支出すると、現世代に追加の税金を課すか、公債で借りて資金を調達する必要がある。リカードはこれらの状況を比較し、次のように結論付けた。「同一の財政赤字は、税金で賄われるか公債で賄われるかに関係なく、市場経済に同じ影響を及ぼす。」

この理論は、我々が、永遠の未来に対する視野を持つ時、つまり、私たちが生きながらえ続けるか、またはそれと同様に後継ぎたちのことを考えに入れるときしか役立たない。リカード自身も理想化された理論であると認めていた。

しかしながら、天才ポール・サミュエルソンは、人は不死身でないことを前提とする世代重複モデルを示すことにより、経済学に革命をもたらした。彼によると、お金があることで、つまりその授受を通じて、世代を超えて取引が可能となる。さらに、企業が過剰貯蓄して投資が不足している、日本の現在の状況が当てはまる場合には、公債発行による政府借入の増加が国民福祉改善に寄与することを明らかにした。

エコノミストは従来、国家の財政破綻ばかり心配していたが、MMT(現代通貨理論)を信じる人々は、主権通貨を発行する政府は破綻せず、インフレリスクさえ心配すればよいと述べている。MMTよりやや穏健な物価の財政理論(FTPL)の主張者も同様の結論を支持している。

現在、主流のエコノミストたちは、赤字財政による支出の有効性を認めている。アメリカ経済学学会の会長オリヴィエ・ブランシャールは新年の会長演説で、金利が成長率よりも低く。また資本収益率が実質成長率よりも低くなっている現在の状況では、政府の財政赤字は国民の福祉を向上させると述べた。

このような考えに沿って、安倍晋三首相は、日本は近い将来、さらなる消費税の引き上げをすることはないと公言している。安倍首相の声明により、さらなる消費税の引き上げをしんぱいする国民の将来に対する不安がなくなることを祈る。

日本は人口と労働力の減少という試練にさらされている。国民生活の質を維持し向上するためには、単なる人口増加では不十分である。十分な教育を受けた人材が生産性を上げなければならない。このため現今の消費税増税による収入の半分を、就学前児童の教育支援に充てる安倍内閣の計画は非常に重要となる。そして、今年の自然災害からの復興のための実質的な財政支出を踏む補正予算が絶対に必要となる。

https://prosyn.org/zfVi5kzja;